F-INC.(エフインク)
2024年07月29日

プロが答えるブランディングとは? Part4:社内デザイナーとの協働編

  • TOP
  • プロが答えるブランディングとは? Part4:社内デザイナーとの協働編

全4回の記事で、ブランディングのプロがブランディングの疑問にお答えします!

「これからブランディングをしたいけど、何からはじめたらいいんだろう?」「そもそもブランディングとは?」ブランディングには興味があっても、実際にどうしたら良いか分からない人は多いと思います。この記事では、エフインクのブランディングディレクター中野さんがブランディングの基本をレクチャー。気になる素朴な疑問を中心に、全4回の記事でお届けします。

 

最終第4回目の今回は、かなり具体的なお話を。ブランディングを進める上で出てくるであろう細かな疑問点について、引き続き中野さんに教えてもらいます。

前の記事のご紹介(Part3)

プロフィール・担当した「ブランディング事例」のご紹介

ブランディングディレクター

大規模商業施設やリゾートホテルをはじめ、企業やカフェなど幅広いジャンルの案件に対し多岐にわたりブランディングを推進。『脳みそから血が出るくらい考えているか』を常に自分に問いただしながら、クライアントさえ気づけていないブランドの進むべき道や可能性、デザイン表現をご提案できるよう日々挑戦中。

エフインクWEBサイトにて、ブランディング事例を多数ご紹介しております。記事と合わせてぜひご覧下さい。

1. 制作した写真やロゴの二次利用、社内デザイナーとの協働

ブランディングの過程では、ブランドロゴや撮影・加工した写真、イラストなど、さまざまなデザイン物が制作されます。ブランディング後、それらを社内で自由に使うことに問題はないのでしょうか。

 

中野)あくまで私の考えですが、ブランディングの過程でこちらが開発した写真やイラストは、積極的に使用していただきたいと思っています。二次利用費などの追加費用は頂かず、ブランドの価値を正しく伝え続けるために、むしろ使用を推奨することが多いですね。ただ、写真やイラストは、ブランディング会社から外部パートナーに制作を依頼している場合も多くあります。その場合、デザインなどはその方々の著作物にあたり、同意がない限り改変しての使用はできませんし、本来意図していない他のブランドなどで使用する場合は、二次利用費が必要になることもあるため、注意が必要です。

 

では、社内に専属のデザイナーがいる場合。ブランディングを進めるにあたって、ブランディング会社に依頼する必要はあるのでしょうか。

 

中野)ブランディング会社の私の立場から言うのも変かもしれませんが、理想は社内のデザイナーさんや、社内ブランディングチームでブランディングを推進することがベストだと思います。圧倒的に社内の声が拾えますし、さまざまな意思決定において、外部に確認する手間が省け、スピーディーに全体を進めることができます。

 

実際に、社内ブランディングに成功している企業やブランドも数多くあるといいます。ただ、費用やスキル面において、かなり難しい面があるのも実情です。

 

中野)社内でブランディングを推進するためには、外部のブランディング会社が持っているスキルやノウハウ、クリエイティブなどと同等の力を持つ人材が必要です。それには育成のための膨大な時間と費用が必要で、大企業以外ではなかなか実現が難しい。ただ、ブランドを育て続けるために、社内にいて欲しい理想の人物像でもあります。インハウスデザイナーがいる場合は、ぜひブランディングチームのメンバーとして、積極的にブランディングに参画していただきたいですね。デザイナーとブランディング会社、お互いの不足分を補いながら、良いところを引き出しつつ共同でブランドを育てていく、というやり方がベストだと考えています。

 

まとめ:エフインクでは、二次利用は基本的に推奨。ただ改変や想定外の使用については条件が変わるので要注意。インハウスデザイナーがいる場合、ブランディング会社のノウハウを生かしながら共同でブランドを育てていく方法を取るのがベスト。

2. ブランディングで新しく生まれたもの、いつまで使い続ける?

二次利用に関連して気になるのが、ブランディングを経て生まれたデザインやロゴを使い続ける期間について。時代の変化に合わせて変えるべきものと、そうでないものの両方があると、中野さんは話します。

 

中野)技術の進歩や変化が非常に早い現代では、「守るべき価値」はしっかりと守り、「変えていい価値」は積極的に変えて、進化させ続けることが非常に大切です。二つの価値の見極めは、ブランドの価値をどれだけ象徴的に表現しているか、が判断基準。「守るべき価値」の具体例としては、企業理念やブランドステートメント、ブランドコンセプトなどのコピーやロゴの造形、メインブランドカラーなどが挙げられます。それぞれのブランドで、最初の段階でしっかりと価値観を定め、「守るべき価値」を見極めておきましょう。

 

また、価値観の理解度は人によってかなり差が出るポイント。運用していくなかで、適切なニュアンスで使われなかったり、知らず知らずのうちに改編されてしまったりと、気づいたら手遅れになってしまうことも。「守るべき価値」が定まったら、社内へ徹底的に周知することも、重要なタスクの一つです。

 

中野)「守るべき価値」を踏まえた上で、それ以外の「変えていい価値」に関しては、数ヶ月単位でどんどんと新たな表現などを続けることが大切です。それが、ブランドを育てることにも繋がりますので、ぜひチャレンジし続けてくださいね。また「守るべき価値」も決して永続的なものではありません。時代の変化に応じて見直す必要があり、その周期は3〜5年程度と以前より早まっている傾向が感じられます。

 

まとめ:「守るべき価値」と「変えていい価値」の見極めを大切に。「守るべき価値」=ブランドの価値を象徴的に表現しているもの。

3. ブランディングを検討する、全ての方へ

中野)エフインクをはじめ、多くのブランディング会社では最初のご相談は無料で承るパターンがほとんどです。ですので、事業規模や業種に関わらず、思い立ったらまずは気軽にご相談いただきたいですね。

 

中野さんは、ブランディングを検討することは「家を建てること」と少し似ている、と話します。

 

中野)家を建てようと思ったら、どのハウスメーカーが良いか、何社も問い合わせて話を聞いたり、決めた予算の中で何ができるか、どこに重点を置くか何度も打ち合わせをして決めていきますよね。ブランディングは家のように一生モノではないですが、今後数年以上を共に過ごす、ブランドを大きく左右する「決断」になります。ブランディング会社との関係も、ブランディングが進めば密に打ち合わせを繰り返したり、本音で意見交換したりする場面が多々出てくるんです。

 

企業やブランドについて一緒に悩み、考え、ブランドをつくり上げる。ブランディング会社を選ぶことは、一緒に考え抜くパートナーを選ぶことです。

 

中野)課題や未来像などを話していただき、必要であれば持ち帰って検討したり、改めてご相談いただいても構いません。ブランディングは敷居が高いというイメージや、自分には関係ないような印象をお持ちの方もいらっしゃると思います。ですが、これからの時代「ブランディングは全ての方が当たり前に取り組むべきことである」と私は考えています。まずはお気軽に、ご連絡をお待ちしております!

 

まとめ:まずは気軽に相談を。比較検討して、ぴったりのブランディング会社を見つけよう!

 

全4回に渡りお送りしてきた「プロが答えるブランディングの疑問」。この記事が、みなさまのブランディング入門となり、今後多くの場面で思い返していただけるようなものになれば嬉しいです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

前の記事のご紹介(Part1)

記事を書いた人

ライター

編集者、バックヤードウォッチャー。アーティスト、研究者、専門家、職人さんなど「何かが大好きでたまらない人」たちの専門的な話を分かりやすく伝えています。人間味あふれるバックヤードが大好きです。

ブランディングディレクター

大規模商業施設やリゾートホテルをはじめ、企業やカフェなど幅広いジャンルの案件に対し多岐にわたりブランディングを推進。『脳みそから血が出るくらい考えているか』を常に自分に問いただしながら、クライアントさえ気づけていないブランドの進むべき道や可能性、デザイン表現をご提案できるよう日々挑戦中。

記事に関連する「ブランディング事例」のご紹介

エフインクWEBサイトにて、ブランディング事例を多数ご紹介しております。記事と合わせてぜひご覧下さい。

記事のシェア

もっとブランディングを
知りたい方へ

30年・300プロジェクト以上の豊富な
経験から培ったブランディングの進め方や、
詳細なCASE STUDYを
ご紹介しています。