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2024年06月30日

プロが答えるブランディングとは? Part3:進行に必要な期間と費用編

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全4回の記事で、ブランディングのプロがブランディングの疑問にお答えします!

「これからブランディングをしたいけど、何からはじめたらいいんだろう?」「そもそもブランディングとは?」ブランディングには興味があっても、実際にどうしたら良いか分からない人は多いと思います。この記事では、エフインクのブランディングディレクター中野さんがブランディングの基本をレクチャー。気になる素朴な疑問を中心に、全4回の記事でお届けします。

 

3回目となる今回のテーマは、ブランディングに取り組む前に必ず知っておきたい、時間とお金についてです。

前の記事のご紹介(Part2)

プロフィール

ブランディングディレクター

大規模商業施設やリゾートホテルをはじめ、企業やカフェなど幅広いジャンルの案件に対し多岐にわたりブランディングを推進。『脳みそから血が出るくらい考えているか』を常に自分に問いただしながら、クライアントさえ気づけていないブランドの進むべき道や可能性、デザイン表現をご提案できるよう日々挑戦中。

エフインクWEBサイトにて、ブランディング事例を多数ご紹介しております。記事と合わせてぜひご覧下さい。

1. ブランディングは「ブランド価値の見極め」から

ブランディングを依頼したいけれど、何にどれくらいの期間や費用が必要か全然想像ができない、という方も少なくないはず。ここではエフインクにブランディングを依頼した際の一般的な例をもとに、具体的に必要になる期間や費用の種類について整理していきます。もちろん企業規模や案件によってブランディング方法が異なるため、期間や費用もさまざま。

 

今回取り上げるものを一つのパターンとして捉え、具体的なブランディングを検討するための材料として活用してみてくださいね。

 

中野)ある程度幅広くブランディングを任せていただくときの代表的なステップ別に、必要な期間と費用が必要な項目を以下にまとめてみました。しっかり成果を出したい、と思っているブランディング会社やブランドほど「ブランド価値の見極め」に力を入れています。ここがブレずに決まっていると、それ以降の工程においても大きな推進力になりますし、やるべきコトが明確になるので、プロジェクト全体のスピード感や判断力なども向上します。

STEP 1:ブランド価値の見極め

ブランディングは長期間に渡るプロジェクトになることも多く、その後の開発にて最適な舵をきるためにも、何度も密に打ち合わせを重ねたり、視察を行ったり、代表へのインタビューなどの方法で、序盤でしっかりと「伝えるべきブランド価値」を見極めておくことが重要です。

 

必要に応じて、社内向けワークショップや社内外へのアンケート調査を実施することで、より現場の意見の吸い上げや企業の本質、ブランドの印象や課題などを明確にする場合もあります。様々なプロセスを経てブランド価値を余すことなく棚卸した後に、その後のブランディング全体の指針として「伝えるべきブランド価値」をご提案資料としてまとめるまでが、このステップの主な実施項目となります。

必要な期間と費用

  • 期間:1〜4ヶ月(企業規模や課題により異なる)
  • 必要な費用:スタッフ・人件費、提案資料制作費、コピーライティング費、ワークショップ費、アンケート調査費 など

STEP 2:ブランド名称開発

ブランド名称の最終採用案の開発費用をはじめ、数十案制作する他候補案の開発費用、ご提案する名称に対して似た名称がないかといった調査に関する費用がメインとなります。また、商標を取得する場合は弁理士への依頼費用や商標登録に関して特許庁に支払う費用が別途必要となります。また、多くの場合、最終案を決定する前に弁理士に調査を依頼し、商標登録の可能性を判断した上で最終採用案を決定します。

必要な期間と費用

  • 期間:名称開発段階で1〜3ヶ月、最終的な商標調査段階で2〜3週間(弁理士により異なる)
  • 費用:名称開発費、類似名称調査費、弁理士費用、商標登録費用 など

STEP 3:ブランドロゴ開発

ブランドロゴをはじめ、最終採用案を決定するまでのプロセスでは数十〜数百の案を制作するため、そのような案を制作する費用や最終採用案のブラッシュアップに関する費用、ブランドの印象を大きく左右するブランドカラーの開発などに関する費用をはじめ、表示方法に応じた様々な展開形や規定、ブランドフォントの選定などを開発する費用が含まれます。また、最終決定したブランドロゴやブランドカラーなどのデザイン要素を正しく運用していくためのブランドガイドライン開発費用などもここに含まれます。

必要な期間と費用

  • 期間:2〜4ヶ月
  • 費用:ブランドロゴ開発費、ブランドカラー開発費、各種規定開発費、ブランドガイドライン開発費 など

STEP 4:ブランドWEBサイト開発

WEBサイトの目的(お問い合わせや購入など)をどこに設定するのか?WEBサイト内でどのような体験をしていただきたいか?ブランドらしい構造とは何か?などの企画開発からはじまり、そろらを体現するUIやデザイン開発と並行して機能の選定やバックグラウンドのシステムなどの選定、記載するコピー類を開発など、さまざまな要素の開発を経て、確定したらいよいよコーディング作業に入ります。そのため、期間的にも費用的にもブランディングの中では一番比重が大きくなりがちな部分がWEBサイトの開発です。

 

特に規模の大きい企業のWEBサイトやECサイトなどは、情報量や商品数に伴い制作するページも膨大になるので、期間もかなり長めに見積もる必要があります。また、WEBサイトの課題や目的によっては、WEBサイト用の写真撮影やイラスト費が追加で必要になることもあります。

必要な期間と費用

  • 期間:4〜8ヶ月(ページ数や機能により異なる)
  • 費用:企画・進行費、UI・UXデザイン開発費、コピーライティグ費、コーディング費、フォント利用費、写真撮影費(カメラマン、モデル、スタジオ、ヘアメイク、小道具 など)、イラストレーション費 など

中野)上記の4ステップにまとめた内容はあくまで一例ですが、それぞれの項目において膨大な内容を開発することになります。全体として積み上げていくと数百万〜、なかには数千万を超える費用が必要になることも。基本的にはサービスや商品のブランディングよりも、企業ブランディングの方が、検討する対象や開発項目が増えるため費用は大きく、期間も長くなります。そのため、一度にまとまった予算確保や期間の確保難しい場合は、数年に渡って少しずつ育てながら開発を進めていく、というのも、良い進め方の一つです。

 

まとめ:一番力を入れて取り組みたいのは「ブランド価値の見極め」であり、実質的に時間や費用がかかってくるのは「WEBサイト開発」。

2. 費用面で気をつけておきたいポイント

ブランディングではさまざまな過程において、あらゆる費用が必要なことがわかりました。大きな金額が動くブランディングだからこそ、よくある失敗例から学び、賢く備えておくことが大切です。

 

中野)一番多いのは、ブランディングに充てられる費用が曖昧で、当初の想定以上に金額が膨らんでいってしまうパターン。もちろんプロジェクトのスタート時には見積もりをお出しします。ですが、WEBサイト開発などの段階においては、かなり内容を詰めていかないと撮影費やサイト制作費など、はっきりした金額が分からない部分がどうしても出てきてしまうんですよね。

 

そこで必要になるのが、予算の明確化。事前にどれくらいの費用を充てられるか、ある程度はっきりさせておくことが肝心です。

 

中野)ご予算に合わせて、最適なやり方を提案させていただくブランディング会社がほとんどだと思います。予算面を包み隠さず正直に話していただく方が、お互いスムーズに進みますし、より具体的な提案にも繋がりやすいので、とてもおすすめです。

 

 

まとめ:使える予算はあらかじめ、できるだけ明確に。ブランディング会社へ包み隠さず伝えることが効果的なブランディングへの近道。

3. さいごに

ブランディングにかかる期間や費用面が明確になったことで、以前より具体的にブランディングを検討することができるようになったのではないでしょうか。期間や費用のバランスをとりながら、無理せず可能な範囲で進めていくことが、ブランディングの成功へと繋がっていきます。

 

次回の記事では、開発したロゴ等の二次利用やインハウスデザイナーとのバランスなど、ブランディングを進める上で少し心配なポイントについて、より具体的に伺っていきます。

次の記事のご紹介(Part4)

記事を書いた人

ライター

編集者、バックヤードウォッチャー。アーティスト、研究者、専門家、職人さんなど「何かが大好きでたまらない人」たちの専門的な話を分かりやすく伝えています。人間味あふれるバックヤードが大好きです。

ブランディングディレクター

大規模商業施設やリゾートホテルをはじめ、企業やカフェなど幅広いジャンルの案件に対し多岐にわたりブランディングを推進。『脳みそから血が出るくらい考えているか』を常に自分に問いただしながら、クライアントさえ気づけていないブランドの進むべき道や可能性、デザイン表現をご提案できるよう日々挑戦中。

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