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2024年04月15日

プロが答えるブランディングの疑問 〜ブランディングとは?成功を生むブランディングチーム編〜

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全4回の記事で、ブランディングのプロがブランディングの疑問にお答えします!

「これからブランディングをしたいけど、何からはじめたらいいんだろう?」「そもそもブランディングとは?」ブランディングには興味があっても、実際にどうしたら良いか分からない人は多いと思います。この記事では、エフインクのブランディングディレクター中野さんがブランディングの基本をレクチャー。気になる素朴な疑問を中心に、全4回の記事でお届けします。

 

2回目の今回は、実際にブランディングを進めるとき、意外と迷ってしまうポイントや、ブランディングチームのメンバー構成についてです。

前の記事のご紹介(Part1)

プロフィール・担当した「ブランディング事例」のご紹介

ブランディングディレクター

大規模商業施設やリゾートホテルをはじめ、企業やカフェなど幅広いジャンルの案件に対し多岐にわたりブランディングを推進。『脳みそから血が出るくらい考えているか』を常に自分に問いただしながら、クライアントさえ気づけていないブランドの進むべき道や可能性、デザイン表現をご提案できるよう日々挑戦中。

エフインクWEBサイトにて、ブランディング事例を多数ご紹介しております。記事と合わせてぜひご覧下さい。

1. 成功するブランディングチームのつくり方

ブランディングをしよう!と決めたとき、必ず必要になるのが社内のブランディングチームづくりです。社内のどの部署から、どんな人を、何人くらい選ぶのが適切なのか。初めてのことで戸惑う方も多いはず。ここではブランディングチームメンバーの選び方や心構えなど、ブランディングの「人」に関する内容を深掘りしていきます。

 

中野)企業の大小に関わらず、ブランディングチームはだいたい3〜6名で組むことが多いですね。メンバー構成は、プロジェクトの内容次第で変わります。施設づくりなど、包括的にブランディングを行う多くの場合では、広報担当をメインに、社内の各部署から1名ずつ入ってもらうパターンが一般的。広告やプロモーションといった一部分のみのブランディングでは、広報担当の部署だけで完結することもあります。

 

いくつもの部署が関わることの強みは、多くの意見を取り入れられること。企業のブランディングでは、ひとつの側面から見るのではなく、部署や立場を超えてさまざまな意見を集めた方がいいと話します。

 

中野)いろいろな視点からアイデアや意見をもらうことが、ブランディングでは大きな推進力になります。ただ、メンバーが多すぎても良くないですね。打ち合わせ中に、あまり話さない人がいると、全体的に話しづらい空気になったりしますし、気を遣って自由な意見が出てこなかったりも。そうすると、余計な時間がかかってしまい、すごくもったいないですね。

 

「意思決定者」がメンバーの中にいるかどうかも、ブランディングの成功を左右する重要なポイントです。

 

中野)ブランディングでは、長い時間をかけてさまざまな要素を決めていきます。社内的にも決裁権を持った「意思決定者」がチームに1人いることで、その場で決められることがグンと増えます。逆に意思決定できる人がいないと、毎回検討要素を持ち帰ることになり、全体のスピードや精度が下がってしまったり、あまりプロセスを知らないチーム外の反対意見で全てがひっくり返ってしまう、なんてことも。なにより、意思決定の責任が分散されてしまうため、誰の想いもない「育たない」ブランドが生まれてしまう危険性があります。「意思決定者」をメンバーに入れることは、効果的なチームづくりにおいて、必要不可欠な要素だと思います。 

 

まとめ:ブランディングチームは、広報担当者をメインに、複数部署から集まった3〜6名ほどで構成するのがオススメ。必ず1人は「意思決定者」を入れよう。

2. ブランディング成功のカギは、社内の報・連・相

数年かけて長期的に行うブランディングプロジェクトの場合、途中で社内の部署異動があって、担当者が変更になってしまう、といったことも考えられます。そんなときにカギを握るのが、社内の報・連・相です。

 

中野)社内の情報伝達がうまくできていない場合、担当者が変わったタイミングでブランディングに足止めがかかってしまうことも少なくありません。人が変わってもブレないブランディングを進めていくためには、最初にブランディングの核となる「ブランドが持つ価値」をしっかり見極めておくことが重要です。そこが決まっていれば、あとは担当者が社内への情報共有を徹底することで、問題なく引き継ぎができると思います。私たちも社内の様子を注視し、報・連・相のためのツールをつくったりと、できるだけ共有がスムーズになるようプロジェクトを進行していきます。

 

また、ブランディングでさまざまなことを決め、最終的な「育てる」フェーズに入った際にも、情報共有がきちんとできているかどうかが成功を大きく左右するそう。

 

中野)

ブランドを「育てる」フェーズでは、ブランディング推進チーム以外の大勢の社員や外部パートナーも参加し、ブランド運営されていきます。社内で十分にブランド価値の共有ができている場合は、どんどん良い方向に進化していくことができる。しかし共有ができていない場合、正しく伝え続けることができず、少しずつブランドに相応しくない方向に進んでしまいます。ブランディング会社は、どうしても社内のコミュニケーションまで深く関与できませんから、情報共有の部分はメンバーの方に、しっかりとお願いしている部分ですね。

 

まとめ:最初に「ブランドが持つ価値」をしっかり設定できれば、担当者が変わってもブレないブランドになる。社内の報・連・相は、とても重要。

3. メンバーの情熱が成功するブランディングチームの要素

ここまで、ブランディングチームのメンバー構成や、報・連・相の必要性について紹介してきました。ただやはり一番肝心なのは、メンバーが「想い」をしっかり持っているかどうか、という点です。

 

中野)担当者を選ぶ際、その方自身に熱量や想いがないと、ほぼ100%ブランディングは成功しません。会社から「ブランディングをしてきて」と命じられて来ただけの方では、会社の要望を伝達するだけですから、それ以上の引き出しがない。僕たちブランディング会社の仕事は、お客さまの想いや内に秘める強みを引き出し、可視化してブランドとして送り出すものですから、担当者の方に想いがないと可視化しようにもできないんですよね。繰り返しになりますが、ブランディングには「育てる」フェーズが必須ですので、そこでも担当者の方の情熱がないと、どうしても育っていきません。ブランディング会社を通して、見栄えだけいいものができあがったとしても、会社として働きかけていなければ「誰にも知られていない」といった状態に陥ってしまいます。

 

ついつい「ブランディング会社に任せておけば勝手に良いブランドができる」と思ってしまいがち。ですが、それは大きな認識違いだといいます。

 

中野)ブランディング会社はあくまでサポートと捉え「私がブランドをつくるんだ!」という気持ちで臨むのが理想的です。そんな想いを持つ方々がメンバーの中に多ければ多いほど、ブランディングはうまくいくと思います。その上で楽しみながら、わくわくしながら、プロジェクトを推進していくことが一番の成功の秘訣です。

 

まとめ:担当者に熱量や想いがないと、ブランディングは成功しない。「私がブランドをつくるんだ!」という強い気持ちで臨むのが理想的。

5. さいごに

ブランディングにおけるメンバー選びにおいて、一番重要なのは、そこにかける「想い」があるか。その上で必要な人数やメンバー構成についても、ご理解いただけたかと思います。ブランディングを進めていく最初の段階で、ぜひ参考にしていただけると幸いです。

 

次回の記事では、ブランディングにかかる「費用」や「期間」など、メンバー選びのあとに気になる、より具体的なお話を、引き続き中野さんに伺っていきます。

記事を書いた人

ライター

編集者、バックヤードウォッチャー。アーティスト、研究者、専門家、職人さんなど「何かが大好きでたまらない人」たちの専門的な話を分かりやすく伝えています。人間味あふれるバックヤードが大好きです。

ブランディングディレクター

大規模商業施設やリゾートホテルをはじめ、企業やカフェなど幅広いジャンルの案件に対し多岐にわたりブランディングを推進。『脳みそから血が出るくらい考えているか』を常に自分に問いただしながら、クライアントさえ気づけていないブランドの進むべき道や可能性、デザイン表現をご提案できるよう日々挑戦中。

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