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2024年04月1日

プロが答えるブランディングの疑問 〜ブランディングとは? 基本編〜

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全4回の記事で、ブランディングのプロが「ブランディングの疑問」にお答えします!

「これからブランディングをしたいけど、何からはじめたらいいんだろう?」「そもそもブランディングとは?」ブランディングには興味があっても、実際にどうしたら良いか分からない人は多いと思います。この記事では、エフインクのブランディングディレクター中野さんがブランディングの基本をレクチャー。気になる素朴な疑問を中心に、全4回の記事でお届けします。

プロフィール・担当した「ブランディング事例」のご紹介

ブランディングディレクター

大規模商業施設やリゾートホテルをはじめ、企業やカフェなど幅広いジャンルの案件に対し多岐にわたりブランディングを推進。『脳みそから血が出るくらい考えているか』を常に自分に問いただしながら、クライアントさえ気づけていないブランドの進むべき道や可能性、デザイン表現をご提案できるよう日々挑戦中。

エフインクWEBサイトにて、ブランディング事例を多数ご紹介しております。記事と合わせてぜひご覧下さい。

1. そもそも『ブランディング』とは?ブランド価値の理解とその重要性

そもそも「ブランディング」って、一体なんなのでしょう?言葉は聞いたことがあっても、実態はよく分からない。そんな方のための第1回は、まずはじめに基礎の基礎から。ブランディングの定義、どんな企業やブランドに必要なのか、じっくり伺っていきます。

 

中野)「ブランディング」といっても、人によって解釈はさまざま。定義や答えは一つではありません。ただ私個人としては、ブランディングとは「ブランドが持つ価値を正しく伝え続けることで、選ばれるブランドへと育てる」ことだと考えています。

 

「育てる」ことを大切にしている中野さん。現代社会においてブランディングの重要性は、「必要なもの」から「必須のもの」に変わり、さらには意識しないとブランドが生き残れない時代に変化した、と話します。

 

中野)膨大な数の企業や商品、ブランドがある今、他社との多少の違いだけでは、顧客に見つけてもらうことも、選んでもらうことも難しい。そんな状況で、ロゴや商品をかっこよく見せたり、ちょっと機能をよくするだけでは不十分です。それよりも『私はこういう想いでつくっています』とか『私のいいところはここ!』など「ブランドが持つ価値」を、商品やサービス、WEBサイトなど、ブランドと社会との全てのタッチポイントで、声高々に「ブランド価値を正しく社会に伝え続ける」ということが必要です。

 

その上で、何より大事なことは「正しく社会に伝え続ける」ために、「ブランドが持つ価値」を正しく認識することだといいます。

 

中野)歴史や背景、想い、こだわり、文化や風土、機能的特徴や優位性など、「ブランドが持つ価値」には、さまざまな要素が含まれます。自分では大したことないと思っていた価値が、実は社会から見るとすごく魅力的だった、ということも多々ありますよね。だからこそ、間違った価値を社会に伝え続けてしまうのは、もったいない。そんなとき、ブランディング会社など外部の視点やサポートが非常に重要になると思います。

 

まとめ:ブランディングとは「ブランドが持つ価値を正しく伝え続けることで、選ばれるブランドへと育てる」こと。

2. ブランディングはどんなブランドや企業に必要?

それでは、ブランディングは、どんなシーンに必要なのでしょうか?

 

中野)結論から言うと、社会に対してビジネスを行う全ての企業やブランドに必要です。膨大な数の企業や商品、ブランドがある今、価格や機能、デザインなどの多少の差や特徴だけでは、社会に見つけてもらうのが困難な時代だからです。ただ、人や企業によって向き不向きがあると考えています。「ブランドが持つ価値を社会に正しく伝え続ける」には、全てのタッチポイントを整えていく必要がある。そのためには、お金と時間が必要不可欠。よほど資金力があり一気に行える場合以外は、理想の状態へと近づけるよう、ブランドを少しずつ育てていく必要があります。そのため、根気強く「ブランドを育てる」という、長期的な視点を持ちづらい方にはオススメできません。

 

では逆に、ブランディングに向いている企業やブランドはどこなのでしょう。返ってきた回答は、意外なものでした。

 

中野)もちろん、お金やマンパワーをかけて行う大企業のリブランディングなどは非常にインパクトがありますが、そのような一部の企業やブランドを除けば、ブランディングによる効果が見えやすく、ぜひオススメしたいのは、団結力や意思統一がなされやすい「小さな企業やブランド」です。ブランディングをしっかりして、ブランドが浸透すれば、過剰な広告費をかけずとも選ばれるようになる。そうすると、規模が大きい企業とも戦える力が身につき、中長期的に経営も安定します。また「育てる」ことにおいても、小さな規模である方が組織内のコミュニケーションが円滑で、一貫したブランド訴求もしやすく、小さな企業やブランドの方が、効果の大きさをより感じられるかと思います。

 

まとめ:ブランディングは社会に対してビジネスを行う全ての企業やブランドに必要。特に「育てる」ことが不可欠なため、ハンドリングしやすい「小さな企業やブランド」はブランディングに向いている。

3. ブランディングの具体的なメリットと魅力とは?

それでは、ブランディングをすることで得られる具体的なメリットや魅力は、一体何なのでしょうか?

 

中野)クライアントの視点では、価格競争や多少の機能を競い合うなどの競争や他社との比較などから決別し、「選ばれるブランドになる」というメリットがあります。その他に考えられるメリットとしては、プロモーションに関する無駄なコストや労力が削減される、という点。伝えるメッセージが明確な分、行うべきプロモーションも明確になります。また、ブランドらしくない広告を出すコストや、毎回新たなアイデアをゼロから考える労力も必要なくなります。

 

価値を明確にする。一見当たり前のように思えることを、ブランディングを通して突き詰めて考えることで、大きな効果に繋がります。無駄を省いた分、研究開発やサービス改善など、本来必要なことにコストや労力を費やすことができ、会社として良いサイクルが描けるようになるそう。

 

中野)もう1つの大きなメリットは、ブランドに相応しい人材の確保ができること。ブランドが社会に浸透してくれば、「ブランドの価値」を理解した人の応募が必然的に増えます。そうなれば、高コストの採用活動も必要ありませんし、社員がよりブランドに相応しいアイデアを出してくれる可能性が高まります。また、離職率も下がりますね。もちろん他にもメリットはありますが、総じて得られる恩恵が非常に多いことは、ブランディングの大きな魅力だと思います。

 

まとめ:ブランディングのメリット

①競争と決別し、選ばれるブランドになれる。

②プロモーションに関する無駄なコストや労力が削減される。

③ブランドに相応しい人材の確保ができ、離職率も下がる。

4. サポートする側から見たブランディングの魅力とは?

ブランディングにおいて、魅力を感じているのはクライアント側だけではありません。中野さん自身も、多くのブランディングディレクションに関わる中で、得る気付きが多かったといいます。

 

中野)私のようにブランディングをサポートする立場でも、その魅力は常々感じています。私は今まで、建設や鉄道、IT、食品、コスメ、サプリ、ホテルなど、さまざまな業種のプロジェクトをサポートさせていただきました。普通であれば何社も転職しなければ、ここまで深く関わることはまずない。ブランディングを通じて、多種多様な業種の経験をさせていただけることは大きな魅力ですね。もちろん、これらは経験値として蓄積されていきますので、多様な業種をサポートしているからこその、業種や業界などに捉われない発想力やディレクション力、デザイン力などで全てお客さまに還元できます。

 

そんな中野さんが、ブランディングを志すきっかけとなったのは1冊の本との出会いでした。

 

中野)中学生くらいからアパレル業界を目指して、大学で勉強していたのですが、知れば知るほど、自分のやりたいことやアパレル業界に疑問が出てきてしまって。20歳の頃、蔦屋書店で『1冊まるごと佐藤可士和。』(Pen BOOKS)という本に出会ったことが転機でした。世間では、少しずつ「ブランディング」という言葉が広まり出した頃だったと思います。それまでデザインは、広告に活用されるもので、どちらかというと消費されていく、ビジネスの+α的な存在だと思っていました。その点で「ブランディング」は、デザインがビジネスの根幹となっていることに驚いて。企業の経営とデザイン、そしてブランディングがしっかりと相乗効果で組み合わさっていて、自分のやりたいことはこれかも、とビビッときましたね。

 

まとめ:多種多様な業種の経験ができるからこそ、業種や業界などに捉われない発想力やディレクション力、デザイン力などで全てお客さまに還元する。

5. さいごに

中野さんがこの仕事を志すようになったきっかけにも「ブランディング」がもつ魅力を垣間見ることができました。悩める企業やブランドにとって、大きな推進力となるブランディング。始めるタイミングは「やりたい」と必要性を感じた、まさにそのときだと中野さんはいいます。

 

次回の記事では、実際にブランディングを進める際のメンバー選びや、心構えなどさらに具体的な内容を深掘り。ブランディングに向けて動き出そうとしたときに、知っておきたい内容を、引き続き中野さんにじっくり伺っていきます。

次の記事のご紹介(Part2)

記事を書いた人

ライター

編集者、バックヤードウォッチャー。アーティスト、研究者、専門家、職人さんなど「何かが大好きでたまらない人」たちの専門的な話を分かりやすく伝えています。人間味あふれるバックヤードが大好きです。

ブランディングディレクター

大規模商業施設やリゾートホテルをはじめ、企業やカフェなど幅広いジャンルの案件に対し多岐にわたりブランディングを推進。『脳みそから血が出るくらい考えているか』を常に自分に問いただしながら、クライアントさえ気づけていないブランドの進むべき道や可能性、デザイン表現をご提案できるよう日々挑戦中。

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